ブタナ

この記事は野草 Advent Calendar 2019 - Adventarの1日目です。

野草に関することならなんでもありのアドベントカレンダーを始めてみることにしました。寄稿いただける奇特な方も歓迎しております。

たまには尖ったことを書こうか…とも思ってネタを用意してみたものの、そこまで突っ込んで語る勇気も持ち合わせていないので、気ままにこの1年で見かけた野草とともに、彼ら彼女らにまつわる話やら、私自身の思い出話やらをつらつらと書いていこうと思います。

また、私が日常的に撮影している写真は実名名義で投稿・活用することが多いので、ここにはiNaturalistに世界中から寄せられている投稿から、ライセンスに基づいて引用させていただくことにします。

初日はブタナです。

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© Briana Lindh, some rights reserved (CC BY-NC 4.0)

キク科 エゾコウゾリナ属の多年草。

ヨーロッパ原産の帰化植物です。

なんでこれを初日に取り上げたかというと、今いる大学で、構内のそこらじゅうに生えているから。

この3月に仕事を休職して博士課程の学生という身になりましたが、新鮮な気持ちで草木を愛でることができるなぁと思って真っ先に否が応でも目に入ってきたのが彼らなのです。

ぱっと見では、自分のフィールドで見慣れているコウゾリナかな?と思ったりもしたのですが……どうも枝ぶりというか、おもに花茎のジョリジョリした剛毛の感じというか、雰囲気が違うということでブタナと気づいたのです。

(参考:コウゾリナの花序)

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© Gularjanz Grigoryi Mihajlovich, some rights reserved (CC BY-NC 4.0)

同じHypochaeridinae亜族((族(tribe)は、科と属の中間に必要に応じて設けられる分類階級))だから似ていたのでしょうが、これまで見てきた植物の近縁種が身近にいるというのは、なんとなくほっとするものです。

このブタナの面白いところは、一年中花を咲かせているというところにあります。

うちの大学構内でも、今週になっても花を咲かせていた数少ない植物なのだ(もう1種はセイタカアワダチソウ)。

開花フェノロジー((フェノロジー(生物季節)とは、植物の開花・結実などの季節性を示す語))をiNatで確かめてみるとこんな感じです。


Phenology of Hypochaeris radicata
アジアでのブタナの開花フェノロジー(青が開花、オレンジが結実)


日本国内の観測記録が限られていたため(←自分でも記録を登録しなさい!という話なのですが)、アジア全域で集計をかけてみたところ、5月から9月まで、長〜く開花していることが見えてきます。

このように、開花時期がだらだらと続く現象は、セイヨウタンポポやホトケノザでもよくみられます。全て外来種という点くらいしか思いつくところがないのですが、ブタナの花を見るたびにいつも不思議に思っています。

ちゃんと文献を当たれば、原因やこれがもたらす影響なんかも調べている人がいるかもしれませんね。

ではでは、初日はこんなところで。それでは。